■ 崖 ■ 崖について トップページ

 すぐ近くに地肌がむき出しの崖がある土地が、購入検討地の場合があります。

 このような土地の場合、地域の条例などで建物を建てるときに条件が付けられることがあります。

 たとえば、鉄筋コンクリートの擁壁を造りなさい。造らないのであれば、崖の高さの2倍離れたところでないと家を建ててはいけませんということです。

 このような土地であっても、現実には、崖からあまり離れずに家が建っていることもあります。しかも、条例などで規制があることを、建築した家の住人も知らなかったりします。

 しかし、現実に建っていても合法的なものかわかりません。どのような規制になっているか、必ず確認することが必要です。

 擁壁を造らないことにすると、実際に建てられる部分があまりないので、擁壁を造らざるを得ないとすると、その工事費相当の金額は、擁壁が不要な近隣の土地より安く買わないと、割に合わない場合があります。

■ひとこと
1995年1月17日兵庫県南部地震
 宅地盛土の擁壁・造成盛土が数多く崩壊しました。
 宅地盛土の崩壊は、そのお宅にお住まいの人命を失う危険ばかりではなく、通行人への危険や、財産の消失による人生設計の狂いを招きます。
 家屋の耐震化は近年相当進みました。
 建て替えが行われることによりいずれ問題は無くなるでしょう。
 しかし家屋の耐震化が十分でも宅地が破壊すれば元も子もありません。
 最近頻発する地震被害に対して宅地盛土の耐震補強の必要性が高まっています。
 報道によれば、倒壊した家が多かった地域は、木造の家と周期が似たような揺れ方だったらしいのです。

 以前、非常に長い周期の揺れの地震が高層の建物の揺れの周期と合うと、高層のマンションなどの揺れが大きくなるということを書きましたが、今回は、木造の家の揺れと同じ周期でした。揺れの周期は地盤の固さによっても違ってくるので、難しいですね。対策をしても、万全とはいかないのでしょう。

■「ガケ」の近くに家を建てるときの注意
1.ガケ条例
 建築基準法施工条例(千葉県)の中の(第4条)ガケに関する規定(ガケ条例)により、次に定められているものをいいます。
 角度が30°を超え、高さが2mを超えるもの(がけ)は、建築物の安全を確保するためにがけから建物を離すか擁壁等の検討を行い、建築確認申請及び完了検査を受け、検査済証の交付を受ける必要があります。

 計画している建築物の近くに擁壁がすでにある場合、建築基準法の検査済証が交付されているかどうか、また、2mを超える擁壁状のものがあり検査済証の交付を受けていないときは、がけ扱いになる事がありますので、ご相談下さい。

 高さが2
mを越えるガケの上の土地や下の土地に建物を建築する場合は(ガケの高さが2m以下であっても市の指導により擁壁等の設置が必要な場合がよりあります)、建物の位置についての規制があります。

 工作物確認を受けた構造による石積みや、RC擁壁等で、ガケの保護をしてからでないと建築することが出来ません。

 保護をしない自然のままでのガケで建築するには、ガケの上においては、ガケの高さの1.5倍以上距離を離して建てる、またガケの下においてはガケの高さの2.0倍以上距離を取れば建築することがあります。

 道路・河川沿いなどの石積擁壁等がありますが、これらの擁壁は建築基準法に適合した擁壁とはいえない場合があり、規制の対象となりますので、特に注意が必要です。

 ガケが他人の所有地である場合も、土地の所有者を問わず該当しますので、擁壁工事を行うにも土地の所有者の承諾を得ることは当然です。なお、建物の構造による緩和もあります。

下図に示すように、硬岩以外の土質で30°以上の斜面を「崖」と定義しています。

また、2段以上からなる崖がありますが、上図に示すように1つの崖として考える場合と、2つの崖として考える場合があります。

擁壁について
擁壁の構造には、以下のようなものがあります。
1.鉄筋コンクリート造------------構造計算による安全性を確認
2.無筋コンクリート造------------構造計算による安全性を確認
3.間知石(間知ブロック)練積み--高さ5Mを超える擁壁には、使用できない。

 擁壁には、壁面面積3u以内毎に水抜き孔(内径7.5cm以上の耐水性のあるもの)を設け、擁壁裏面で水抜き孔の周辺と必要な部分に砂利など透水層を設ける必要があります。

●建築基準法施行条例(千葉県)第4条(がけ付近の建築物の敷地等)
がけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外の土地で高さ2メートルを超えるものをいう。以下同じ。)の上にあってはがけの下端から当該がけの高さの1.5倍,がけの下にあってはがけの上端から当該がけの高さの2倍に相当する距離以内の場所に居室を有する建築物を建築してはならない。
ただし,次の各号の一に該当するときは,この限りでない。

(1)がけの下に建築物を建築する場合において,次のいずれかに該当するとき。
イ 建築物の外壁及び構造耐力上主要な部分(がけの崩壊による衝撃を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造(がけの崩壊による衝撃に対し破壊を生じないものに限る。)その他これと同等以上の耐力を有する構造とし、かつ、必要に応じ当該外壁の開口部からの土砂の流入を防止するための有効な壁等を設置するとき。
ロ がけと建築物との間に、がけの崩壊に対して建築物の安全上支障のない塀等が設置されているとき。

(2)建築物を建築する場合において,建築物の位置ががけから相当の距離にあり,がけの崩壊に対して安全であると認められるとき。

(3)建築物を建築する場合において,構造耐力上安全な擁壁が設置されているとき。

(4)建築物を建築する場合において,がけの形状及び土質により,がけの崩壊のおそれがないとき。

2.前項第3号の擁壁は,次の各号に定めるものでなければならない。

(1)高さ5メートルを超える擁壁は,鉄筋コンクリート造であること。

(2)擁壁の上部の地表面に雨水その他の地表水を排水することができるような排水施設を設けていること。



2.宅地造成等規制法

 宅地造成等規制法では、都道府県が宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい市街地又は、市街地になろうとする土地の区域を、宅地造成工事規制区域として指定されています。

 この区域内での、下記のような宅地造成工事をするには、許可が必要です。

  1
).高さ2mを越えるガケを生ずる切土
  2).高さ1mを越えるガケを生ずる盛土
  3).高さ2mを越えるガケを生ずる切土及び高さ1mを越えるガケを生ずる盛土
  4).面積が500平方メートルをこえる切土、盛土等

 千葉県では、柏市、松戸市、市川市、船橋市、千葉市、佐倉市、成田市、銚子市、木更津市、勝浦市、八千代市の各一部を指定してありますので、ご注意下さい。

3.既存造成宅地擁壁診断




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